仕事で徹夜をすることがたまにあった。
徹夜二日目の深夜辺りに、かけていないのに音楽が聴こえだした。
どこから鳴っているのだろうとあちこち耳で探ると部屋の隅の加湿器からだった。
当然、音楽機能などない単純な加湿器からだ。
ファンの回る一定のモーター音に乗って音楽が聴こえるのだ。
クラッシックのようなものからフォーク、民謡のようなリズムがランダムに奏でられた。
睡眠不足のせいだと思ったので怖がるどころか「BGMにちょうどいいか。せっかくなら好きな音楽に変えられないかな?」と好きなミュージシャンを念じてみたりして面白がっていた。
その幻聴は毎回、徹夜のほぼ二日目辺りに起きたものだった。
いま考えれば、こういうメカニズムだったと思われる。
- 仕事が忙しくなり酒を呑む時間もなくなる。
- 自然と断酒することになる。
- 体内のアルコールが切れていく。
- 離脱症状のうちの幻聴が現れるのが二日目の深夜辺り。
という事。
幻聴がきれいな音楽だったのは幸いだったかもしれないが、かなり蝕まれていた状態だったといえるだろう。

